2011年12月8日木曜日

(再掲)カナ入力はどこへ行く?!

大きな話題性を伴なって登場したiPad、5月末に注文し、6月半ばに手に入れた。液晶画面だけのすっきりしたデザインである。キーボードは入力モード時に液晶画面に映し出される仕組みである。手始めに無料アプリをインストールしたり、WEBやメールの使い勝手を試してみた。そして気がついた。
「日本語入力でカナ文字キーでの入力が出来ない!?」 

 パソコンでは日本語入力方法を、カナ式とローマ字式のどちらでも選ぶことが出来る。だがアップルの開発者は、iPadなら閲覧や画面操作が主体だか らローマ字式入力で事足りると考えたのだろうか。入力モードで画面に現れるiPadキーボードはまずアルファベットが並び、数字列は表示されない。数字を 打つには数字モードに切替えねばならない。数字列にも「ぬふあうえ…」とカナ配置のあるJISカナ式がiPadで採用されない理由は、この辺にあるのかも しれない。
 そんなカナキー設定の無い日本向けiPadではあるが、設定画面の中での欧文キーボードには様々な配列が用意されている。フランス語圏用「AZERTY」配列、タイピングの速さでは定評あるもののマイナーな「Dvorak」配列だって選択できるのだ。
 これだったら3列にすべてのカナ配列を実現している「親指シフト配列」が選べてもよさそうなのに……と、「親指シフト派」の私は思ってしまった。
 そう、私は、今でも「親指シフト派」である。(携帯操作の親指ではない)ワープロが出現してまもなく、当時の富士通が編み出した日本語入力専用の キー配列やキーボードのことであり、ワードプロセッサ「OASYS」には当初標準で採用されていたものだ。「JISカナ式」や「ローマ字式」よりも日本語 入力速度が早いということで、印刷・出版業界でもOASYSを選択導入するところが多かったようである。1〜2週間ミッチリ練習すれば(ここが肝心)、ブ ラインドタッチで楽々日本語入力出来るようになる……というのは本当だった。当時、文字入力の仕事も多く、当社でも「親指シフト」のOASYSがずいぶん 活躍したものだった。
 その後、印刷業界を席捲したMacintoshによるDTP時代が到来すると、MACでも使えるサードパーティ社製の親指シフトキーボードを捜してきた。いまでも標準キーボードに親指シフト用エミュレータソフトをあてがいながら利用している。
この文章を打ち込んでいる私のノートパソコンは「Windows7 Pro 64bit」である。が、ここでも親指シフト入力を実現させている。
ところが、いまや社内で「親指シフト」にこだわっているのは私を含めて年配組!いつしか誰もがローマ字入力派となってしまっているのだ。文筆業を中 心に多くのファンがいるとも言われる「親指シフト」だが、どうも最近は旗色が悪い。「親指シフト」は忘れ去られていくだけなのだろうか!
 現在国内で販売されているパソコンのほとんどはJISカナ式のキーボードで売られている。このうち購入者の何割がJISカナ式入力を利用しているのだろうか。iPadでは、もはやカナ式入力の選択はできない。
「ローマ字式入力こそが標準的な日本語入力だ?…」
と、主流派であることを理由に胸を張ってしまって良いのだろうか。私の小学校時代にはローマ字学習の時間があった。戦後の進駐軍の政策に沿ったローマ字学 習だったかもしれない。でも世代によってはローマ字学習の体験すらない。パソコン教室ではローマ字入力が壁になってしまう高齢者も多いと聞く。外来語をカ タカナとして入力するときなど、原語のスペルとは似ても似つかぬ入力は不自然で気持ち悪い。表記法だっていろいろなのだが変換ソフトIMEのきめ細かな働 きで、なんとか成立している入力システムのような気もする。親指派の負け惜しみと言われてしまいそうだが、
 ほとんどのキーボードに刻印されている欧文のQWERTY配列もその歴史をたどればその配列の合理性は疑わしいようだ(上段だけで TYPEWRITERと打てるのは何故!、左からASDFGHJKLと並ぶのはABCD順に並べていた名残り!)。JISカナも、取りあえず割り振った配 列が今に至っているとも聞く。
 キーボードを擁する機器類は、19世紀後半から、機械式・電動式・電子デジタル式と、進化の波にもまれながら大きく変貌を遂げてきた。そして通信 に、コミュニケーションに大事な役割を演じてきたはずである。特にキーポードは人と機器類との大事なインターフェースであり、機器操作のカナメにあたる。 それなのに、キーボード配列やその仕組は、なんて保守的で、場当たり的で、いい加減さを内包したままで今日まで生きながらえているのだろう!ほんとうに不思議です。

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